登山初心者が、三重県の御在所岳に登ってみた話。
コロナが縁に
どうもリョウです。最近山登りにハマっています。
このご時世、なかなか人が集まる場所にも行けず、毎年訪問していた東南アジアも当然断念、退屈極まりない日々を送っていた私にも新しい趣味が出来ました。ある意味、コロナがご縁になって出会った趣味ですね。
元々アウトドアスポーツはお天道様次第で危なくなるイメージがあったので避けてきましたし、中学生の時に合宿でスキーに行って、絶望的運動神経の無さから周りから取り残され、死を覚悟した私が登山を始めるなんて思ってもみませんでした。
しかしコロナがどうだと言ってもずっと家の中にいたら、別の病気(精神的な)になりそうなので、密にならず尚且つ冒険的要素がある所に行こう!ということで行き着いたのが山登りということです。
登山家の友人が付き合ってくれることに!
しかし山は怖いと聞きます。いきなり天候は変わりますし、勢いで買ったトレッキングシューズだけでまともな装備を持っていない自分が下手に攻めた場所に行くと多分死ぬ・・・
そう思い先ずは登山好きの友達に教えてもらおうと連絡しました。
彼は小林君といって、僕の大学時代の友人でアウトドア用品の会社で働きながらトレイルランニング(山などを走るスポーツ)など山岳系のアウトドアスポーツに興じるミスター・アウトドアのアスリートで、話している内に一緒に山登りをする運びになり、僕は先日、彼の住む三重県鈴鹿に行ってきました。
山の頂上付近でテントを張って宿泊するという、かなりワクワクするプランを組んでくれていて、私は富士山級の期待とワクワクを胸に近鉄特急に乗り込みました。
自由すぎた「ミスター・アウトドア」
前泊の為、夜分に彼の住む部屋に着き、ビールをいただきながら久しぶりの会話に花を咲かせてる内についつい夜更かし。
5時起床と言っていたのが蓋を開ければ起きたのは7時30分、おまけに二日酔いという危機管理能力ゼロの様相に募る不安。ミスター・アウトドア、怖るべし・・・。気を取り直して出発。カッパや寝袋など、安全のため必要なものは小林君が貸してくれました。
電車で1時間ほど移動し到着したのは「御在所岳(ございしょだけ)」という山でした。
標高は1200メートルでロープウェイがあるので、頂上まで行く分には老若男女限らず苦労せず済む人気の山です。
私たちは当然ロープウェイなど使わず足だけで登るわけでありますが、結構キツい・・・初っ端から急な登りが続き、「裏道」という看板にたどり着きました。 二日酔いの頭痛と久しぶりの運動でコンディション最悪の僕の目の前で小林君、リュックサックからおもむろにビールを取り出し飲み始めるではないか。 少しイラッとしました。 ミスターアウトドア、怖るべし。
しかし、そこからの彼との登山は楽しいものでした。登るので精一杯の私でしたが、彼は道に咲いている花の名前のクイズを出してきたり、先述の出来事のおかげで説得力は皆無でしたが登山の心得について軽快に語ってくれていました。ほろ酔いで気持ちよくなっていたのでしょう。
その中で彼はこんなことを言っていました。
「登山の目的は色々だが、山を楽しむには必ずしも登頂を目標とする必要はない。自然の風景や木のさざめき、川のせせらぎに囲まれて弁当を食べたり友達とおしゃべりをしたりするだけでも山の魅力は十分に味わえる。山はどこまでも自由だ」と。
確かにそうかもしれないなと思いました。私は音楽活動をしていますが、確かに同じことを思います。高みを目指して初めて見られる景色ももちろんありますが、一番の基本はそれを自由に思いのままに楽しむことだと。さすがミスター・アウトドア。
恐怖の強風に煽られながらも登頂達成!
しかし山頂に近づくにつれ、道は険しくなっていきます。初心者コースだそうですが、かなり狭い道をロープをつたって渡る場面では、もし手を滑らせたら滑落すると思いましたし、風がかなり強くて少しばかり恐怖を感じました。
そしてもう一つ疑問だったのは、人気の山の割には人と全く出会わないのです。その理由は後に明らかになりました。
ロープウェイが強風の為、閉鎖していたのです。
それに気づいた小林君、「あー、今日は登山しない方が良い日だったみたいだな」と言って笑っていました。全然笑い事じゃないです。途中でビールを飲みだした時点で引き返すべきでした。そんな訳でテント泊も中止を余儀なくされます。
その後も強風に煽られましたが、何とか山頂へ到着!
そこで小林君はリュックサックからアウトドア用のガスバーナーやアルミの容器を取り出して湯を沸かしてくれました。
それをカップラーメンに注いでいただきます。
これが美味いのなんの。登頂の達成感と風に吹かれて冷えた体に染みるラーメン、そしてアルプスを覗く絶景、山は最高だと心の底から思いました。彼は得意げにビールを啜っていました。山よりも自由な男です。
そして、山頂を堪能したのち下山。
彼が選んだ下山ルートが前日の雨で滑りやすくなっている上に、かなり急な下り道で、そして岩だらけの道で何度か滑りそうになりながらも、何とか下山して登山終了。
山道みたいな人生がいい
下山してからはアスファルトの車道を40分ほど歩いて駅に向かっていたのですが、平坦な道を歩くのは身体には楽なのですが、楽しくありません。
逆に山道は色んな地形があって、ある時には踏み心地の良い落ち葉のクッションを軽快に進んだり、またある時には危険を感じて恐る恐る進んだり・・・そういう心の動きがあるからこそおもしろい。人生の道も似たようなものなのかも知れません。
凸凹が些か多いくらいが味があっていい。悲しみや恐怖を知っているからこそ噛みしめられる幸せがきっとあるのでしょう。山は色んなことを教えてくれます。なるべく危険には遭いたくないものですが。
合計7時間半の初心者には過酷な道のりでしたが、小林君のアドバイス通りに多めに買っていた食料のお陰でふらつくこともなく無事に帰還できました。なんでも、山道では1時間におにぎり一個分のカロリーを摂取するのが望ましいそうです。
この登山で学んだことは、何かを始めようと思い立った時は先ず、それが好きな人に話してみるのが一番だということですね。
自分の好きなものの魅力を熱く語る姿はどんな人でもかっこよく映るものですし、面白さが伝わるものです。生きた知識をいただけます。
スキーなども、本当に好きな人に連れて行ってもらえば楽しめるものなのかも知れません。食わず嫌いしているよりも、色んな楽しみを知っていた方が見識も広がりますしね。
コロナは多くの人の生活を一変させてしまいましたが、悪いことばっかりじゃないなと思いました。彼から学んだ山の基本をよく心に留めて、今度は一人で近くの山にでも行ってみようと思っています。